保健ショート2
ここはサッカー部部室。
「え、お前まだなのかよ!」
「俺は三人だぜ〜」
「1年の佐藤ってめちゃすげえらしいぜ!」
ここはサッカー部部室。
部員たちは何の話をこそこそしているのかというと、
「先輩、早くしないと練習はじまりますよ」
「うを!渋沢かっ」
「あ、ちょうどいい。なあ、お前はどうなんだよ」
「え?何がです?」
「女だよ!」
と、いう内容らしい。
もちろん渋沢はそれを聞いて固まったのは言うまでもない。
「おい、渋沢!早くしろよ、ボールとって来るのに時間かかりすぎだろ」
そこで現れたのは三上。
「お、三上もいいところに来たな。今渋沢に女の経験あるか聞いてたんだよ。お前はもちろんあるんだろ?」
三上は突然の質問だったが、得意そうに返事をした。
「決まってるじゃないですか」
先輩達は純粋な人達なのか、そんな三上の態度を気にしないで「おお!さすが!」と驚いていた。
「じゃあ今付き合ってる子とかいるんじゃないのか?」
「もちろんいますよ」
また先輩たちは「おお!」とどよめく。
渋沢はいつの間にか復活していて、三上が何を言うのか不安げに聞いていた。
「ど、どんな子だ!?やっぱ可愛いのか?」
「そりゃあ可愛いですよ。年上で俺のこと子供扱いしようとするけど、結局俺に子ども扱いされて拗ねるところなんか特に」
三上のその言葉を聞いてまた先輩たちはどよめいて、今度は「年上かぁ」と羨ましそうにつぶやいていた。
三上はなおも話し続ける。
「しかも頭いいのにどっか抜けてるところとか、負けず嫌いなところとか本当に可愛いですね」
「そ、そうか・・・。そ、それでやっぱり、し、しちゃってるのか・・・?」
先輩の一人が興味津々といった感じで質問してきたが、渋沢としては相手を知っているだけあってあんまり聞きたくなかった。
「もちろん。そういうときがあいつ一番可愛いんですよね。最初嫌がってても、結局俺の言うとおりにするとこなんてもう男ならたまりませんね」
つーか、相手も男だろ!と突っ込みたかったが、渋沢はじっと黙っていた。
先輩はついにメモをとるやつまででてきた。
「あいついつも最初は嫌がったり恥ずかしがったりするのに、最後には自分からさそ・・・」
ぐわら!!
「あなたたち、もう練習はとっっっくの昔に始まってるんだけど・・・?」
得意気にの自慢話をしていた三上も、メモを取っていた先輩も、うんざりしていた渋沢も、鬼の監督玲の登場で固まってしまった。
「全員グラウンド50周!!」
どこかのテニス部の部長よろしく玲はそう叫んだ。
「・・・さっきの話って先生のことだよな」
「当たり前だろ。ほかに誰がいるってんだ」
確認のために聞いた渋沢だったが、やっぱり・・・と、がっくりきてしまう。
「何だよ、続き聞きたいのか?あのな、のやつ・・・」
「いい!俺はいい!藤代にでも聞かせてやってくれ!!」
「遠慮すんなって。でな、のやつがまた可愛いんだよな〜」
渋沢は聞きたくもない三上ののろけ話を走らされている間だけでなく部活中ずっと聞かされることになった。
「俺も彼女がほしいかもな・・・」
「おい!ちゃんと聞いてんのか!!」
終わり
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