保健ショート3

 今日は日曜日。
 は冷蔵庫の中が空になっていたので買い物に行くことにした。
「よ!
 ドアを開けた途端三上がいて、は驚いてしまう。
「三上君。遊びに来たの?」
「そうだよ。は俺に一言も言わないでどっか出かける気だったのか?」
 責めるような三上の言葉には危機を感じてしまう。
「ただの買い物だよ!」
「じゃあ俺もついていくかな」
 部屋で待ってればいいのに。と、が言うと、三上は悪い虫がについてくるかもしれないから護衛でついていくと言われてしまった。
 もうとっくの昔にに三上という悪い虫がついているのだが。

 あれこれ言いながら店についてあれこれ言いながら買い物をしていく。
 そして帰り道も二人はあれこれ言いながら仲良く帰っていく。
「もう、三上君ったらいつの間にかすしパックかごに入れてるんだから。どこかの子供みたい」
「悪かったな!だってすしは好きだろ」
「だけど三上君はうにが入ってるから入れたんでしょ。本当に子供だよね〜」
 そこで三上が何か言い返そうとしたとき、急にの鼻の頭に雫が落ちてきた。
「あ、雨だ・・・」
 と、のんきに言ったのもつかの間。
 がそういったとたん、急に雨は激しくなって二人に痛いくらいに降りかかってくる。
「あそこに非難するぞ」
 三上はそういうと雨よけの出来そうな店の下にの腕を引っ張って連れて行く。
「急に夕立が来るなんてついてないよね」
 はそう言いながら店の軒下から外を眺める。
 外は激しい雨のためにしろっぽくかすんで見える。
「しばらくここにいようぜ。店も閉まってることだし」
 夕立だろうからしばらく待っていれば雨は止むだろうという三上の考えだった。
 三上の言うとおりに雨が止むのを待っていただったが、段々寒くなってきた。
 まだ夏が来るには早い季節なので雨に濡れるとすぐに寒くなってしまう。
「これ羽織っとけよ」
 となりで震えているに気がついて、三上は自分の着ていた上着を脱いでに羽織らせる。
「いいよ、三上君が風邪引いちゃうから」
「俺は平気だ。部活で鍛えてるからな。だから気にしないで羽織っとけって」
 無理やりに自分の服を羽織らせて、ついでのように肩を抱く。
「お前体温低いよな」
「そうかな?三上君が高いんじゃない」
「俺だって低いほうだぞ」
 そんなたわいのない話をして二人は雨がやむのを待っていたが、雨は一向にやむ気配がない。
、ちょっとここで待ってろ」
 が何か言う前に三上はもうどこかへと走り出してしまった。
 激しい雨の中、三上の姿はすぐに見えなくなってしまった。
「三上君・・・」

 三上を待つこと数分、やっと雨の中から三上が帰ってきた。
「三上君!どこ行って・・・って、それを買いにわざわざ雨の中走ってきたの!?」
 三上の手には一本の傘がしっかりと握られていた。
「ああ、なんだかこのままここで待ってても雨は止みそうにもないしな。も風邪引きそうだから買ってきた」
「俺のためにそこまでしてくれなくてもいいのに・・・。本当にごめん、大人の俺がなさけない」
 は本来なら自分がするべきはずのことを三上にさせてしまってとても罪悪感を感じてしまっていた。
「ごめんじゃなくてお礼を言えっての。それに俺が好きでやってんだから好きにさせろよ」
 三上らしいせりふには自然と笑ってしまう。
「じゃあ傘は俺が持つよ」
 はそう言って三上の腕に自分の腕を絡ませてから傘を差した。
「お、今日は珍しく大胆じゃねえか」
「まーね。ところで何で傘ひとつなの?」
「そりゃあ相合傘をするために決まってんじゃねえか」
 激しい雨の中だったけれど、そんなことは二人とももう忘れているように仲良く家路に帰りましたとさ。



終わりっぽい

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