下水道は現時点ではいくつかの解決していかなくてはならない問題点もあります。 その主なものを次に挙げます。 |
1.未整備地区への早急な敷設。 現在の水質汚染の状況は一刻も早い対策が必要となっており、早急な下水道の 整備が望まれます。しかし下水道を作るには莫大な費用と時間がかかり一朝一夕 にできるものではありません。闇雲に大規模な下水道計画を立てるよりも地域の 事情や自然環境・都市計画に応じた下水道を考えることが必要です。 そのためには公共下水道だけではなく、合併浄化槽のような個人下水道との併用 も考慮していこうという動きもあります。それには行政による品質基準と維持管理 基準の明確化と適切な指導と使用者の汚水排出に対する関心の向上が必要です。 |
2.下水道の整備や維持管理に伴う費用の軽減と財源の確保 前項でも述べたように下水道事業はそのものが後発事業でもあるため莫大な費用 を必要とします。この財源は各自治体の予算だけではなく国庫からの補助を受けて いるのが大半の下水道事業の現状です。 下水道の維持管理費には下水道使用料を充てるとしても、それまでの支払利息や 新設の下水道の工事費による財政の逼迫と必要性の板ばさみで非常に苦しい状態 にあるというのが下水道事業の実情です。 これらを解決してしていくには ・効率的な下水道計画の立案 各地域の実情や将来の都市計画に見合った計画だけでなく、財政的な回収率も 考慮に入れて経済状況の変化にも対応出来るような計画を立てることが必要です。 また計画の情報や工事の発注なども適正になされているかなどの実務的な情報も オープンにして地域住民の方に積極的に関心を持ってもらうことも必要でしょう。 ・他事業との併用で包括的に財源を確保する。 下水道事業を単独事業と考えず、下水道施設の併用(排水管を通信ケーブルの 通路に用いる。汚水処理施設に公園等の公共施設を併設するなど)や下水道が 整備されることによって利益を被る他事業(流域治水事業など)の予算を流用でき るようなフレキシブルな体制作りが必要とされるでしょう。 ・下水道が整備されたら出来るだけ速やかに下水道に接続する。 せっかく下水道が作られても利用されなければ宝の持ち腐れです。また下水道 使用料が回収できなければ下水道施設の維持管理もままなりません。速やかに 下水道に接続するようにしてください。 などの方法が考えられます。 |
3.汚水処理技術の向上 残念ながら現在の汚水処理場の能力は万能ではありません。特に古い処理場で は過去の水質基準に沿って作られているため除去できない物質もあります。こういっ た施設の改善とともに水質基準も見直していかなければなりません。 また効率的な汚水処理のための技術開発や経験を積んだ技術者の育成なども必 要な課題です。 なにより必要とされるのは家庭からの排水から出来るだけゴミを取り除く、合成洗 剤等を極力使用しない、汚水排出量を減らすために節水をするといった地域住民の 方のご理解と協力だと思われます。 |
以上いくつかの点を挙げましたが、この他にも地域によって種々問題がありますが、 重要なことは行政任せの下水道計画ではなく、地域住民が積極的に関心を持ち参加 していくことと、各個人が自分の排出する汚水の管理に責任を持つことでしょう。 |