『Valentine kiss』


今日は2月14日。夢見る乙女達の一大イベントである。
ここにもある意味、夢見る乙女が深い溜息をつきながら歩いていた。

「はぁ・・・」

金色の髪が夕陽に照らされそのまま額に収めたいワンシーンのようにその夢見る乙女、うずまきナルトは絵になる。


「絶対・・・無理だってば」


何が?


「う・・・ん・・・・」


どうやら、またくだらない事で悩んでいるようだ。


「それに今日は女の子の日・・・」


−Valentine Day、確かに女の子の日と言えない事もないけども。


「第一カカシせんせー、あまいもん嫌いだってばよぉ」

ああ・・・なるほど。愛しい愛しいカカシにチョコをあげようか思案しているのか。ホントあの変態上忍のどこ
がいいのやら。はっきり言って、カカシに係わるとろくな事が無い。二股、三股を平気でかけるような男である。女には不自由していないであろう。だって、木 の葉一の寝技師だし・・しょうがない。話しを今日の朝に戻してみるか・・。

***

「ナルトー!遅いわよ!っ」

7班の紅一点の春野サクラがナルトをみつけ駆け寄る。

「サクラちゃぁん・・・」

ここに来るまでに、悩みつくして気力もつくしていい案も対して浮かばなかったナルトは、半泣きになりながらサクラの元へ行く。

「で、用意したの?」

サクラの問いにナルトの首は横に振られるだけ。

「何でー!!」

「だって・・・もう昨日は売ってなかったってばよぉ・・」

ナルトの弱気な姿に思わずぎゅっと抱きしめたくなるのを必死で我慢するサクラ。偉いぞ!どこに変態上忍が隠れているかもわからないからな。己の身は自分で 守れ!忍者だもんな!

「はぁ・・・しょうがないわね。私が作った予備だけど・・」

そういって可愛らしくラッピングされた小さな箱を差し出す。

「これ今日中に渡すのよ!!」

そう伝えると私はサスケ君に渡すからー!っと速攻去っていく。

「・・・サクラちゃんの可愛いってば・・・」

サクラのチョコは女の子らしく、男のナルトが持つと違和感はやはりある。
しばらく呆然と立ちつくしていたナルト。誰かに見られている視線に気づき、小箱を隠す。

「ナ、ナルト君っ!」
「ヒナタ?」

ナルトに仄かな恋心を抱いているストーカー、ヒナタが木の陰から、今までに聞いた事のないような声の大きさで叫んだ。

「あっあの・・」
「?」
「こっこれ!!」

差し出されたのはピンクのリボンで括られた小さな袋。

「チョコだってば?」
「貰ってくれるだけでいいから・・」

ヒナタの微笑ましい笑顔で渡されたとあらば、断るわけにはいかない。

「うん・・でも、俺」
「いいの。今日は女の子の日でしょ?だからナルト君に受け取ってもらいたかったの」

そう言い残し、恥ずかしさのあまりか、ヒナタはじゃ・・とだけ告げる。

「女の子の日?・・だってば」

残されたのは意味をはき違えたナルトとその小さな呟き。
カカシ邸までの足どりは重く。

「無理・・・だってば」

くるっときびすを返し自宅へと向かう。ダッシュで。自宅の扉を勢いよく開け、寝室へと駆け込む。今のナルトは弱気になるばかり。

「無理・・・・・・」

伝えたい時に限って…伝えたい人に限って…上手く言葉が出て来ない。溢れるほどの気持ちがあっても それを上手く言葉に出来ない苛立たしさ。

「女の子の日に俺がコクってどうすんだってば!」

枕に叫ぶ力無き心の声。

「ナルトーーーー!!!!!」

どのくらいそうしていたのか。サスケに無理矢理チョコを渡したサクラが家の前でナルトを呼ぶ。カカシ邸に向かっているはずのナルトが自宅へ走っていく姿を 見たサクラが心配してナルトの後を追ってきたのである。

「勝手にはいるわよ!」

ずかずかと侵入してサクラが真っ先にとった行動は・・

バシーンっ

平手打ち。

「??サクラちゃん??」
「半分八つ当たりの半分説教のビンタよ!」
「え?」

「何拗ねてんの?」

ナルトの視線に合わせしゃがみこんだサクラ。お姉さんの仕草で優しくナルトに語りかける。

「だいたいは想像つくわ。ヒナタに何言われたのかしんないけど、あんた今日、気持ち伝える為に覚悟決めたんでしょ?」

「だって・・気持ちを伝える言葉が見つからないんだってば」
「そのためのバレンタインでしょ?あっさり『スキ』って言ってくればいいのよ!」

サクラの言葉に何故かためらうナルト。

「そんなの無理だってば」

『スキ』じゃ、足りないってば……よ。サクラちゃん。

「何、うだうだしてんの?カカシ先生、チョコいっぱい貰ってたわよ?言葉にできないんなら"ぎゅっ!"ってし
たり、"ちゅっ!"ってしたりすればいいじゃない!玉砕したっていいじゃない!私なんて毎日玉砕よ?」

「・・・他人に貰ったチョコをまた渡ししてもせんせー喜ばないってばよ・・」

「じゃあ作り直せばいいじゃない!私も手伝うから!予備だっつったでしょ?これは!もう一回湯煎にかけてあんた色に溶かして、ナルトが先生の為に愛を込め て固めればいいのよ!ホラ、そうと決まればちゃちゃちゃとやっちゃうわよ!」

サクラの勢いに押され、二人の可愛い乙女はチョコを作り直す。

「・・・まだ今日は終わってないからね?」
「うん」

「カカシせんせーうけとってくれるってば?」

カカシ先生、スキ。
カカシ先生、スキ。

祈りを込めてもう一度固めなおすチョコ。

甘い甘い、ナルトの愛を込めて。


Fine


Happy Valentine Day  !!
お持ち帰り可能ですv









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   ぐお〜!!
   ナルトが可愛すぎます〜vv
   カカシがにくったらしいくらいですね☆
   「狂歌酔月」の高遠さまからいただきました。
   ありがとうございましたv
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