ああ…。願わくばあの子に幸せがあらん事を……。
そして悲しみや憎しみ苦痛をすこしでも
無いように………。
今逝く。運命を許してくれ。
ナルト。
聖域
冒頭の言葉が、里の英雄でありオレの父でもある4代目火影注連縄の言葉。
なんて勝手なセリフ。実際問題オレは迫害されている訳で、それを死んだあんたがどうにかしてくれるわけ?
おかげで、友達やおろか、知り合いやはたまた買い物さえ苦労するこの始末。
あんたは、感傷的に言って死んでいったのかもしれないけど。実際苦労するのはオレだし、辛い目にあうのもオレ。
墓の下で、何ができんの?
誰も守ってくれないから、強くなるしかないじゃん。なのになったら、なったで、ジジイはそれを隠せだって。
理不尽極まりなしって感じだし。
オレには素に戻る時間さえないのかって、正直生きていくのってむずかしい。
面倒くさい。食べるのも。寝るのも。生きていくために人を殺すのも、どうでもいい。
フツーーに生きて適当に結婚して、フツーに老衰で死ぬのが夢なのに………。
なんで、こうなんだ?
神様を呪うなんて生やさしいものじゃないっしょ。不公平すぎて嫌になる。
将来の夢は、サクラちゃんぐらいの能天気な女の子と結婚して、ゴロゴロ子供を作ること。
そんなオレに仲間のスイの緊迫した声。
「行ったぞ!」
目の前に躍り出てきた、男にクナイで一刺し。ハイ終了。
暗部のお仕事中に考えることじゃないかもね。
今回は抜忍の始末。軽く印をきって男の体蒸発。額あてだけ回収。これだけ燃えないんだよね。
やっかいだね。遺品なんて変な念入ってそうで、キモチ悪い。
嫌そうに額あてを摘んでると、暗部仲間のコードネームしか知らないけど。スイがその額あてを大事そうに受けとった。
もしかして、知り合い?
暗部面の下で、微妙に押し殺した泣き声?
ああビンゴみたいだね。たまにあるんだよね。暗部所属だと、命令は絶対だし、たとえ親兄弟だって任務だったら消さなきゃいけないし
オレには幸い、トモダチもいないし。親兄弟もいない。恋人になって欲しい人はいるけど。振られっぱなしだし。
まさにオレって暗部うってつけの人材だね。
そういや、スイはまだ新人だな。
「それ始末しといてくれ…。」
当然本来なら、額あては回収だけど。せめてもの形見ね。
そんなの残されたものの気休めだけどね。
ポンポンと肩を叩いてオレは退場した。
そんななにげない行動の感動したのか、スイは感極まって嗚咽をかみ殺すのに必死だ。
こういう激眉みたいに厚い奴はキライじゃない。
暗部には向かないけどね。
20歳ぐらいの姿に変化しているオレは、落ち着いた低音で。
「じゃあ、ここで別れて帰ろう。」
それだけ言うと尊敬のまなざしのスイ。
「ありがとうございます。闇さん」
どうでもいいけど複雑だよ?あんた確か18歳ぐらいだろ?それが本当のオレが12歳だってしったらどうする訳?
里の嫌われ者に感謝なんかしてもいいの?あーあ。なんか面倒くさい事になったらどうしよう。
嫌な予感。
家に帰ると、室内に人の気配。
「まーた!センセイってばなーんでいるってば?」
監視者のカカシ先生は最近オレの家にいる。何度自分家に帰れっていってもムダ。
「おかえり。ナルト…。」
そんな顔しても駄目だってば。センセイってば残酷。
オレのことスキだっていうくせに、キスひとつしてくれない。
「一緒に寝てもいいけど…。抱いてくれないんなら。床で寝てよね」
ほんとに馬鹿にしている。オレをだかないのは大事だからだって。
何かあったら大変だから守らせてって。生殺しかよ
そんなセリフに騙されるのは、一昔前の今はバーサンの年代くらいなもんだ。
「それでも、いいよ…」
そんなこと出来るわけないし、分かってないしオレはあんたの事好きなんだってば。
将来設計狂わしてもいいくらいに。何度もそう言ってるのに。
「ウソ。一緒に寝てよ。」
なんだか熱い眼差し。その気になったかな?
じっとオレを見つめた後。
「やっぱ帰るわ」
なんだそれ?ムッとした。もしかして、からかわれてる?
「スキにしたら?」
背をむけて怒ってる事のアピール。
そうすると暖かい腕が、被さってきた。いやもしかして抱きしめられてる?いよいよか!
「ナルトはオレにとって聖域なんだ。だから、キレイなままでいて」
ふざけんなーーーーー。振り向いて殴ろうとしたら、あわてて去っていった。
相変わらず逃げ足だけは速い。
聖域?キレイなまま?分かったぞ。汚れてやる!
間違った決意をした。ナルトだった。
おわり?
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ああどうしよう。
続きかこうかどうしようか。
でもこれ続きは裏もの?
うーん悩む。
珍しくライトタッチのカカナル誘い受ッて言うより。
迫り受け…。
2003・6・15
これはリクしたときにちょうどリク内容と続くような作品でして、
早く書けるのは続きものということだったので、続きをリクしました。
しかもこの作品はリクしてないのに、セットで頂いちゃいました。
私は幸せ者です!!