ここは、里の外れにあるあばら家。
そこには、十数名ほどの『ナルト愛護団体』上層部のメンバーが集結していた。
「あいつがやめてから・・・なんかいいことないなぁ〜。」
「っていうか、あいつ、ナルトのこと独占しすぎなのよ!!」
「全くだ。カカシの野郎・・何かにつけてはナルト・ナルトって・・!!」
上層部のメンバーは、カカシに対して怒り爆発だった。
「な・・なにかないかな?そ、その・・ナルト君とベタベタできて、カカシ先生を懲らしめられるような・・。」
「「「「「「「「「「・・・・・・。」」」」」」」」」
名前はあえて言わないが、日向宗家のお嬢さんの言葉に、誰もが「彼女を敵に回したくない・・。」と思ったのだった。
「・・・・真夏・・・の恐怖・・。」
急に、背後から聞こえた声に、一同は固まった。
言葉を発した、砂の里の危険人物は、何を想像したのか、ニターっと笑った・・・・。
真夏の恐怖 |
「カカシ先生ー!!ありがとうってば!!」
「いやいや。」
かき氷を買ってもらったナルトは、笑顔でカカシにお礼を言った。
カカシ、死んでもいいと思う瞬間だった。
カカシとナルトは木の葉の里の祭りに来ていた。
ナルトを誘うことに成功したカカシ。
けど、絶対あの某団体の邪魔を受けると身構えていたのだが、これといって何も起こらなかった。
それが、余計にカカシの不安を誘ったのだったが、ナルトのこの笑顔に、カカシの不安は吹き飛んだ。
「カカシ先生、あれ、楽しそうだってば!!」
「ん?」
ナルトが指差した先には『お化け屋敷』があった。
「ねえ、カカシ先生!!俺、入ってみたいってば!!」
「・・・・。」
落ち着かないナルトを見ながら・・。
(ナルトと『お化け屋敷』・・。ナルトって案外お化けとか苦手そうだし・・。
「先生怖いってば!!」とか言って抱きつかれたら・・・。)
「うん、ナルトが入りたいならいいよ。」
「やったってばよ!!」
ちょっぴり焦点のあってないカカシに手を引かれ、2人は『お化け屋敷』受付へと向かった。
「おう、よく来たのぅ。」
「えっ!?じ、じっちゃん!?」
「火影様・・・。」
なんと、受付をやっていたのは3代目だった・・。
「なんで火影様がやってるんですか?」
「・・・・・まあ・・いろいろのぅ・・。」
疑いの目で見るカカシに、3代目は苦笑した。
(皆お化けやりたいから受付やる人がいなかったなんて・・・死んでも言えん・・。)
火影は、「受付しろ!!」と、昨夜脅されたことを思い出して、心の中で呟いた。
「まあ、とにかく入れ!」
「え・・・お金・・。」
火影は、ナルト達からお金を受け取らず、2人を押入れ、入り口をしっかり閉めた。
「「え・・・・。」」
呆然とする2人。
その背後は闇だった・・・・・。
「か・・カカシ先生・・怖いってば?」
「べつに。」
「遠慮すんなってば。」
見た目よりはなんだか長い廊下。
ナルトはカカシにしがみつきながら歩いていた。
そして、廊下の真ん中辺りまで来ると、向こう側にぼやーっと何かが見えた。
「か、カカシ先生!!向こうに墓石があるってば!!」
「・・・・。」
廊下の先にあったものは・・・「はたけ家」と書かれた墓石だった。
そこにきて、なんとなく分かったカカシ。
「ナルト・・あのな・・。」
カカシが最後を言わず・・・。
「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「!!」
突然。
壁という壁から無数の手が飛び出してきた。
「や、やだ!!やめろってば!!」
「くそっ!」
壁はどんどん狭まってきて、ナルトのありとあらゆるところを撫で回し。
カカシの髪の毛を引っ張り、ぶん殴り、張り手を食らわせ・・・。
「くそっ!!離せってば!!」
ナルトは恐怖のあまり、封印が解けかけていた。
とたん、手は恐れをなしたかのようにナルトから離れていった。
「うぎゃあああ!!」
「ナルト!!」
そして、ナルトは手が離れた隙に駆け出していった。
が、カカシはたくさんの手に捕まえられ、ナルトの後を追うことができなかった。
「!!」
そして・・・・廊下の向こう側からは、ジェイソンの面をかぶった、チャンソーを持った奴がカカシに近づいてきた。
面の穴からは、かすかに写輪眼が見えていた・・・。
一方、出口まで逃げたナルトは・・・。
「はあ、はあ・・・・怖かったってば・・。」
肩で息をしているナルト。
「あれ?カカシ先生は?」
ナルトはそう言って後ろを振り返った。
すると、そこにいたのは、カカシではなく、着物を着たおかっぱの女の子だった。
「な、なんだってばよ・・。」
女の子は、手に何かを持って、笑っていた。
「お、お前なんだって・・。」
キャハハ。
笑い声とともに、女の子の手から持っていたものが落ちた。
そして、コロコロ転がって、ナルトの足元まで来た・・・それは・・・。
「うぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ナルトは盛大な悲鳴を上げると、意識を手放した。
「・・・ルト・。」
「ん・・・。」
「ナルト。」
「!」
ナルトは、呼ばれた声にはっとして、目を醒ました。
そこにいたのは、紅、アスマ、サスケ、ヒナタ、我愛羅・・。
「ナルト君。あのお化け屋敷、そんなに怖かった?」
「うん・・・ってここは?」
「病院だ。お前はぶっ倒れたんだよ。」
サスケに言われて、ナルトはやっと思い出した。
「カカシ先生は?」
「「「「「・・・・。」」」」」
ナルトの問いに、皆は苦笑していた。
「か、カカシ先生は・・・・集中治療室にいるの・・。」
「えっ!?」
ヒナタの言葉に、ナルトは驚いた。
「な、なんで?」
「・・・・まあ、いろいろだ。」
「・・・・。」
アスマの言葉に、ナルトは首をひねるばかりだった。
「それにしても・・最後の奴は怖かったってば・・・。」
「最後?」
「うん。なんかさー、着物来た女の子が、生首持って笑ってたんだってばよ!!」
ナルトは腕を組みながら目を細めて言った。
「すっごいできだったってば。」
「・・・な、ナルト君・・・そんなものはないはずだけど・・・。」
そりゃそうだ。皆あの廊下に集中していたのだから・・・。
「え?それじゃあ・・・。」
ナルトの表情が固まる・・・。
「本物だな。」
我愛羅は淡々と言った。
「・・・・・・・・・う・・ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ナルトの悲鳴は、病院中に響き渡った。
おわり。
この作品は、ちょうど一年前にメルマガの投票で書いた作品です。
(10日予定だったんですが、私が日にちを数え間違えていて・・。おまけで書いたんです。)
この作品で、カカシに対してのうっぷんを晴らせて頂きました(笑)
皆様もそうであれば幸いです。
時期的にいいかな〜と思ったので、アップにいたりました。
感想いただけたら幸いです。
ちなみに、この作品はお持ち帰りOKです。
掲示板orメールにてご一報ください。
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と、いうことで、さっそくもらってきてしまいましたー!
読んでいて、カカシのうっぷんを見事に晴らせたので、
ぜひみなさまにもと思いまして・・・。
私的には怖いことをあっさり言うヒナタに愛を感じましたよ(^^)
こまちさま、陣中見舞いの素敵小説ありがとうございました。