押しかけ旦那
 
 
「ナ〜ルトォ〜〜〜〜〜。ご飯まだ〜?」
 このどこか間が抜けたようなしゃべり方はあの謎の覆面男しかいないだろう。
 最近この男は、男がぞっこんにほれ込んでいる少年の家に住みついている。
 そこで何をするのかといえば、少年の作った手料理を思う存分味わったり、少年に耳かきをしてもらい、少年の太ももを存分に味わったり、少年と風呂に入りたいと駄々をこねて一緒に入らせてもらい、少年を洗ってあげるフリをして存分に少年の肌を堪能しまくったり・・・。
 挙句の果てには少年と一緒に寝たいと駄々をこねまくって(床を転がる・等)少年の寝顔を堪能し、機会があればいつでも夜這いをかけようとするいろんな意味でとんでもない危険人物だった。
 だが、純真な少年はそんな危険人物の危険度など知りもせずに、嬉しそうに返事を返す。
「まだだってばよ〜!もうちょっとで出来るから待ってて。あとは鍋が煮込むのを待つだけだから」
「そう。それならちょっとこっちに来てくれる?」
 危険人物・カカシは嬉しそうに手招きをすると、純真なナルトは素直にしたがってカカシのところへかけていった。
 ナルトが来たところでナルトの体を反対に向かせ、後ろから抱きこむようにして座らせた。
 ナルトは後ろから抱かれて恥ずかしそうだったが、照れ隠しのためか、カカシに理由を聞いた。
「で?何だってばよ」
「ん〜、別に用はないけど・・・。ナルトの髪ってほわほわしてて太陽の香りがするね。それに抱き心地抜群だし」
 そんな感想を述べつつさりげなくセクハラすることをカカシは忘れない。
 最後にはナルトの頬をいとしげにほお擦りしだす始末だ。
「なんかさ、こうしてると俺達夫婦みたいだよね」
「じゃあ、カカシせんせーが妻だってば」
 意外な言葉にカカシは驚きつつも反論する。
「何でよ、ナルトに決まってるでしょうが。家事してるのはナルトなんだから」
「でも毎日こうやって人の家に押しかけてくるのは押しかけ女房っていうって聞いたことあるってばよ?」
「まあ確かにそういうけど、女房なら押しかけても家事をちゃんとするだろう?俺はしないっしょ?」
 そこでナルトは困ってしまった。
「じゃあ、そんなカカシせんせーは何なの?」
「う〜ん。さしずめ押しかけ旦那ってとこじゃない?」
「ええ〜!?そんなの最悪だってばよ!勝手に人の家に押しかけといて何もしないでいるのが押しかけ旦那ならそんなのには来てほしくないってばよ!」
 そんなの呼ばわりされてはさすがのカカシも焦ってしまう。
「じゃ、じゃあこれからは俺も料理手伝うからさ、ねっ?」
「いいけど、カカシせんせーってば料理ちゃんとできんの?」
 とっても疑わしいというような目つきで見られてしまった。
 それを弁解するかのようにカカシは急いでしゃべりだした。
「そりゃあちゃんとできるよ。ナルトの家に押しかける前は一人暮らししてたからね」
「・・・じゃあ掃除・洗濯も実はできんの?」
「もちろん!」
 カカシはナルトに追い出されるのが心配で、何も考えずに素直に答えてしまった。
「それじゃあ、カカシせんせーってば家事ちゃんとできたくせにずっとオレ任せにしてたのー!?」
 よけい状況がやばくなったことにやっと気がついたカカシは思わず大変なことを口に出していた。
「わ、分かった!じゃあ今度からは俺が全部家事やるから!!」
「本当っ!?」
 しまった!と、思ったときにはもう遅かった。
 ナルトは嬉しそうに「これでカカシせんせーもれっきとした押しかけ女房ばってば!」などと言っていたので、カカシは諦めることにした。
 だが、これだけは男としては引けないことがあった。
「いや、俺は飽くまで押しかけ旦那だよ」
「ん〜、もうこの際どうでもいいってばよ」
 と、簡単にナルトに話題を一蹴されてしまったカカシであったが、それでもめげずにまた話し出した。
「押しかけ旦那は家事を頑張ったお礼に毎晩女房にイイコトさせてもらうんだ。それって中々いいアイデアじゃないっ?どう?ナルト、さっそく今晩試してみない?」
「よくイイコトってのが分かんないけどしょうがないからお礼はしてあげるってばよ」
 またカカシの浅ましい計画が始まったことに気がつかないナルトは、素直にOKの返事を出してしまう。
 あとはカカシの腕の見せ所。
 この勝負果たして押しかけ旦那が勝つか、押しかけられ女房が勝つのか。
 
 
 
 
 
 
 
終わり
 
 
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