たまにはこんな日も
 
 
 今日は久しぶりに朝から大雨が降っていた。
 ナルトは朝起きてすぐにカーテンを開けるので、すぐにその日一日の天気が分かるのだ。
 普通雨が降るとたいていの人は嫌がるのだが、ナルトは別だった。
「エロ仙人!今日は雨が降ってるってばよ〜!」
 ナルトはそう言って、最近一緒に暮らすようになった自来也を起こしに行った。
「早く起きるってば!」
 ナルトが寝室に入ってきても、自来也はわざと起きようとしなかった。
 今日が雨だということは里の会議も休みになるし、もともと自分には依頼も来ていないのでゆっくりしたかったのだ。
 なのにナルトは自来也が起きないとなると、布団の上に乗って跳ねだした。
「こらー!起きろってば。寝坊は体によくないんだってばよ」
「うるさいの〜、わしは眠いんだっての。今日ぐらいゆっくりさせろ・・・」
 自来也はそう言うとまた寝ようとしたが、今度は嬉しそうなナルトの声に邪魔された。
「やっぱり!じゃあ今日はオレの相手してってば」
「はあ?」
 
 相手?相手ってなんの相手をするんだっての。
 朝からわしはそんなに若くないっての・・・。
 
 寝ぼけているのか自来也は良からぬ想像を勝手にし始めてしまった。
 そんな自来也のことなど知りもせずにナルトはまた嬉しそうに自来也を起こしにかかる。
「起きてってば、エロ仙人〜」
 最近忙しそうな自来也を気遣って、ナルトは甘えるのを避けていたのだ。
 しかし、やっと出来た家族がいても、相手をしてもらえないのは結構寂しいことに気が付いたのだ。
 むしろ初めから一人のときのほうがあまり寂しさを感じなかったものだ。
 最初からそばにいる人間がいないものだと思っていた頃と、今は自分のそばにいて当たり前の人間が出来てからのほうとでは基本的に寂しくなるのも甘えたくなるのも差があるのだということがナルトは最近気が付いてきた。
 そんなナルトだからこそ、今甘えなくていつ甘えるんだ!という気持ちでいっぱいだった。
 しかし、そんなナルトの気持ちを知りもしない自来也は軽くナルトをあしらう。
「お前の相手ならカカシあたりが喜ぶだろうよ。あとはサスケとか・・・。とにかくもっと若いやつのがいいだろう、お前も」
 自来也は正直自分に自信があったが、いくらナルトのお願いでも自分はナルトの保護者なのだから、手を出すのはまずいと思い、そう言った。
 だけど、そんな自来也の気持ちも勘違いも知るはずもないナルトはさらに食って掛かった。
「オレはエロ仙人がいいんだってばー!・・・それとも」
 そこでナルトは自来也の布団に入り込むと、寂しそうに言った。
「オレの相手すんのは嫌?」
 いくらなんでもうるうるした目で可愛らしく誘われては断ることなど無理だった。
 自来也は血走った目で、涎をごくりと飲み込むと確認のためにもう一度聞いた。
「本当にわしなんかがいいのか・・・?」
「エロ仙人しかいないってば。それにオレ、ずっと我慢してきたんだ。駄目?」
 寂しそうに小首を傾げて「駄目?」なんて言われてしまったら、理性を保つのはたとえキャリアのある自来也でも至難の業だ。
 一つため息をつくと自来也は起きだした。
「わしは男の趣味はないんだがの〜。まあお前がどうしてもというし・・・、わしもお前ならいけそうだ」
 正直いけそうどころかいけすぎて自分を抑えられなくなるのではと、別の心配をしていた自来也だったが、決心をしてそのままナルトを押し倒しはじめた。
 何のことを言っているのか分からなかったナルトは、自来也が自分を押し倒した意味ももちろん分かっていなかった。
 だけど、さすがに次の行動に自来也が何をしようとしているのかやっと分かった。
「!!何してるんだってばよ!?」
 自来也はナルトにキスをし、そのまま服を脱がせ始めたのだ。
「何って、お前が望んだことだろうが。今さら何を怖気づく必要がある。言っとくがわしはもう引けんからな」
 そう言う自来也の鼻息は荒く、ナルトが逃げようとしても腕をがっちり押さえられてしまって逃げようがなかった。
「ち、違うってばー!!オレはただ構ってほしかっただけで別にいやらしいことしてなんて一言も言ってな〜い!!」
 
 エロ仙人の頭の中はどうなってるんだってば!!
 
 などとナルトが思おうが、自来也はお構いなしだった。
 さすがというか、少し経てばもう自来也の望むような展開になっていった。
「さっきも言ったが、わしは男の趣味はこれっぽちもないが・・・。どうやらお前は別らしい」
「や、やだってば・・・」
「わしの話を聞くどころじゃないようだの」
 
 当たり前だってば〜!いきなりこんなことされるならもうエロ仙人なんか相手にしてやらないってばよー!!
 
 いくらナルトが心の中で悪態をついても実際それらは言葉にはならなかった。
「たまにはこんな日もいいもんだな、のうナルト?」
「っう、い・・・やだっ・・・てば」
「本当に可愛いやつだな。言っとくがわしをこんなに真剣にさせたのはお前のせいだからな。責任は一生とってもらうからな」
 自来也のプロポーズのような言葉に少しだけどきっとしたナルトだが、なんとか流されないように心の中だけでも反発する。
「お前にはずっとわしといてもらうから、覚悟しておけ」
 
 ず、ずるいってばー!こんなときにそんな言葉言ったら単純なオレは騙されるに決まってるってば!それを分かってていってるんだろ〜!?卑怯だってば、エロ仙人!
 
 そうは思ってみても、その後に自来也からやさしいキスをされてはナルトはもう心の中でも黙ってしまうしかなかった。
 でも思ったことが一つだけ。
 
 たま〜〜〜になら・・・。こんな日もありだってばよ。
 
 
 
 ・・・・・・・多分・・・。
 
 けれど、数分後ナルトは激しい腰の痛みなどで「やっぱりナシだってばよ!!」と叫ぶのであった。
 
 
 

終わり

少し訂正と表に移動(03/07/28)


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