13507(from 2004/11/01 to 2009/12/3)+

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1.当サイトについて

はじめに

このサイトは、NIHで開発されたJAVAベースの画像解析ソフトImageJ付属している取説的資料の日本語訳を提供しています。

思い立った背景は、私がまだ修士課程に進学したての頃,あるシーンに遭遇した事から始まりました。所属先研究室の学部学生が歴代の先輩の面白おかしい 日本語訳プロトコールを後生大事にしていたのです。当時まだ英語アレルギーの学生は多く,また読み間違えすることもありました。それでも、先輩の残した面白おかしい日本語プロトコルは、後輩やラボにとって大変に役立つモノでした。

多くの方にとって、決して英語のハードルは高くありません。自分の知っている分野ならば,という条件付きで。分野が違えば、言葉も違う。私は科学論文は比較的読めますが、ロアルド・ダールのような初級読み物を読むのは多少苦労します。自分が読もうと決めた内容なら何とか読み下すこともできるでしょう。でも,そうでなければなかなか難しいと思います。必要に迫られたからといって、誰でも簡単に乗り越えれるわけではありません。

画像解析の導入として本サイトを活用していただき,かつて後輩たちに残してくれた先輩の面白おかしい日本語プロトコル同様に私の面白おかしい日本語訳を読みながら皆さんのお役に少しでも立てればと思います。そして優秀な皆さんにはさらにステップアップしていって頂ければこれ幸いという思いです。

ImageJとの出会い

ImageJの前身であるNIHimageについて知ったのは,私が学部学生で初めて研究室という場所に配属された頃でした。BrdUの取り込みをanti-BrdU抗体で検出しその蛍光強度を測定してDNA合成量を検量するというテーマでした。BrdUが何なのかも知らず,蛍光染色の原理すらまだよくわからず,当時はものすごい世界に入ってしまったなと思いました。

研究に縁遠い学生が多い大学だったにもかかわらず,今なら「比較的研究テーマとしてまともに学生のことを考えているラボだったなぁ」と思えますが,当時はどうなる事かとお先真っ暗な状態でした。そんな中,ラボ出身の先輩で当時貴重な博士課程(他大学)に在籍していた先輩から「こんなソフトがあるよ」と,教えてもらったのがNIHImageでした。

その頃私は浜松ホトニクスの画像解析装置に四苦八苦しており,何とか研究テーマを軌道に乗せたい一心でした。結局そのときは画像解析そのものについても,NIHimageの使い方もよくわからずに説明書と先行論文と格闘しながら卒業研究に取り組んでいました。

研究に必須な画像処理と画像解析

最近ではマニュアル本もプロトコール本も増え,幾分扱いやすくなってきたようにも感じられます。それでもやはり機械とコンピュータと算術計算の固まりを相手にするのはそう簡単にはいかないようです。western blot,蛍光染色だけではなく,近年蛍光プローブを用いた技術はどんどん増えています。しかし一方で,検出における機械側の構造や仕組みを知らずに研究を進めていては適切な結果を得ることはできません。

科学者に一番必要なのは洞察力かもしれませんが,その研究を支えていくのはデータと技術です。世代を問わず,多くの研究者や技術者は画像処理,画像解析におけるリテラシーを身に付ける必要があります。複雑なもの全てを知る必要はありません。多くの作業は自動化されたりわかりやすいインターフェースに隠れています。ただその過程でどのような作業が行われているのかは知っておくべきです。

私はライフサイエンティストなのでその範囲内でしかImageJを扱いませんが,他には画像処理としてAdobe photoshopやGIMPなどを使います。また,作図にはIllustratorを用います。また発表用にはword,excel,PowerPointを使用します。何を使用するにしても多少の知識と技術があるだけで,作業がものすごく簡略化できたり,大切なデータをわけのわからない状態に変換してしまうことはありません。難しいことと考えずに,自分のスキルアップ,またライフハックの一部として取り組んでいければもう少し親しみやすくなるのではないでしょうか。

ImageJからはじまる可能性

このソフトの特徴として,拡張性が非常に優れている点が挙げられます。そのため様々な分野でユーザーがいます。そしてそれぞれの分野に特化したImageJの扱い方を紹介しています。

私はプログラミングに長けていないのでせいぜい繰り返し作業をマクロに登録する程度しか扱えません。しかし,世界中のユーザー自身が、各々の作ったプラグインを様々にためし,各人がImageJをより自分で使いやすく、価値の高いソフトになるように改良しています。

通常解析用ソフトは自分用にカスタマイズはできません。またヘビーユーザーと初心者がそれぞれ使いやすい環境は別です。主に専門的なソフトというのは素人相手にはできていません。ImageJはどちらかというと実用的です。でも基本セットはとてもシンプルで,必要以上に機能の付いていない状態は、ある意味初心者向きだと思います。だからこそコアになる肝心な部分を使いながら仕組みを理解して,その後でより使いやすく応用することが大切なのだと思います。

また画像処理に関わる基本的なフィルターについてはdocumentation内にその原理が記載されているので,これから画像処理用のフィルターを開発しようとする方には良い参考書となるでしょう。フリーソフトという理由だけでもかなり使いやすいソフトです。まずはImageJでデジタル画像の扱い方に慣れてみましょう。その後でphotoshopやGIMPなどを使ってみると各ソフトの使いやすさ/使いにくさやImageJのメリット/デメリットが見えてくるのではないでしょうか。

これから

当時大学院生だった,しかも英語はそれほど得意ではない私が訳した内容のままですので,意訳誤訳も多々あります。なかなか改訂できませんでしたが,ちょっと恥ずかしい部分もあるのでもう少し見やすい工夫やわかりやすい工夫を加えながら少しずつ改訂していこうと思います。

画像解析や画像処理をこれからやろう,もう少し勉強しようという方のために,より分かりやすい内容にサイトをまとめていければと計画しています。今後とも,ご支援のほどよろしくお願いします。



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