「みんな家族だよ」








ホスピス見学の
あとJohnのうちで
昼食。
パンケーキ、野菜と玉子のサラダ、
カリカリのベーコン、
フルーツにコーヒー。


夕方
ニットのワンピース
レースのストールを肩にかけて
Johnのうちへ。
今夜は、ディナーにおよばれなのだ。


もうすっかり見慣れたJohnのうちの
ガレージから入る。
Johnはエプロンをつけている。
コットンの白っぽいシャツを着て
下はジーンズ。

キッチンのオーブンを覗き込んで
真剣な表情。

聞けば、ローストビーフを焼いているのだそう。
ごちそうだぞ、Remiと目くばせ。
他のみんなもやってきた。

Remiたちがこうして遠くから会いに来たので
彼らは多分このニューイヤーのお休みを
他の事すべてをキャンセルして
もてなしてくれているのだと思う。
それはさりげなくて
こちらにはわからないけれど。

私たちもくつろいで楽しんでいるのよって風情。
それも本当だろうし。







さて、いい匂いがしてきた。
ローストビーフが焼きあがったもよう。
Scottはこれが大好物とかで、それも端っこの方の
こげた部分がいい。
真っ先にJohnに切り分けてもらっていた。
それもチョー特大のを。
お皿に乗っけた塊のビーフのあまりの大きさに
私が目を真ん丸くすると、
照れて恥ずかしそうにダハハ、と笑った。

テーブルには紫のテーブルクロス。
ワイングラスにナプキン。
お花も少し。

今夜のメニュウは
ローストビーフ、チキン、ポーク、
マッシュポテト、シーザーサラダ、
ワイン、パン、
トマトのオリーブオイル添え
パルメザンチーズも添えられ、大ごちそう。


食事の前には、必ずCherylがお祈りをする。
隣にいる人と軽く手を握り合って
お祈りを聞く。
お祈りは短いけれど
しっかりとした祈りだ。
「こうしてRemiや日本からの友人を迎えて
家族一緒に、食事をいただけることを
感謝します」てな感じ?

私の右隣はRemi。
左はScott。


ワインで乾杯して
食べ始めると、しばらくして
Johnがふいに立ち上がった。
みんなの方へ両手を大きく広げて言った。

「We are all family.
(私たちはみんな家族みたいなもんだよ

一瞬、??と思った。
そして次の瞬間、ああ。
じんわりと感動が伝わってきた。
Remiをここにいざなってくれたものたちの
すべて、私やTedなどを
ひっくるめて
Johnは家族だと包み込むように
形容してくれたのだ。

みんなはうなづきながら微笑を交わした。
Johnが座るとまた元のようにワインを飲んだり
食事を、いただいたり。

サラダを取り分けながら
私は思った。
このことばを大事にしよう、と。
Remiの叔父さんたちとの
この7日間の総まとめともいうような
ことば。

そして総括として何かを書く時には
その題に、とも。

ふだんは言葉数のあまり多くない
Johnのことば。

Cherylと目が合って、ふっと微笑みを交わした。
あなたはほんとにいい人とめぐり合いましたね。

深い目の色をした女性だ。








この日はDavidのおさななじみの
Damianという人も
招待されていた。
彼は6月のJillたちの結婚式の
bestman(花婿に付き添う男性)なのだそう。
だれかに「指輪を忘れてはダメだよ」
なんて冷やかされていた。

そういう映画もあったっけね。

このダミアン、
びっくりしたのは大学院で
女性学を研究しているのだそう。
「フェミニズム?わぁ、それは素敵。
affirmative actionとか?」
「そうです、よく知っておられますね」
「男性でそういうテーマを研究している人は
大学院で何人くらいいますか?」
「残念ながら、ボク一人です」
「あら、そうなんですか」


Cherylたちから
Remiと私に、シルクのスカーフと
ブローチのプレゼント。
Remiのは赤い感じの。
私には濃い青の感じ。
とても素敵。

Remiはすぐに黒のセーターの首に
巻いてりぼんに結んだ。
「あら、よく似合うわよ」
みんなに誉められていた。

Remiはアメリカで
ことのほか、自然にリラックスしていたし
明るく、美しかった。

なにしろ、
血は半分アメリカなんだものね。

このスカーフ
どこかで私たちに、と選んで
くださったのね。


夜半にお別れ。
Johnは再び、Remiをしっかりと抱いて
別れを惜しむ。


気をつけて。
ニューヨークを楽しんでね。

ありがとう。
一人ひとりと握手して。







Tedの運転でホテルに帰りながら
窓の外を見つめるRemi。
今日で私たちはコロンバスとお別れ。
明日はTedとも別れて、
私たち3人はニューヨークへ。




明日は朝、早い。
空港に8時。

wake-up コールを
朝5時半に頼む。