| 「よく来てくださったわ」 ☆・★・☆・★・☆・★・☆ ん? 少し 眠ったみたい。 そろそろ、デトロイトのメトロポリタン空港 に着くわネ。 機体が下降して 町が見えてきたわ。 空港の地面には うっすらと雪。 無事に着陸。 ザワザワと人が立ち上がる。 さて ここで、入国審査がある。 これが、びっくり。 2001年の9月11日のテロ事件以来、 厳しいとは聞いていた。 あのテロは 私が帰国して 2週間くらいして起こった。 ここデトロイトでも学校は 早くに終わり父兄が迎えに来て 児童は帰宅。 オフィスはもぬけのカラにしたそう。 ワシントン2泊、ニューヨークにも2泊したので 高いビルが崩れ落ちるのを見た時は ひどくショックを受けた。 テレビの画面にくぎ付けになった。 その夜は夢を見てうなされた。 が、 だからといって アメリカのイラク攻撃には反対である。 武力攻撃、戦争は決してしてはいけない。 手ぬるくても、ほかの手段を模索してほしい。 アメリカの国民性には 「やられたらやり返す。 それをしないのは、臆病だ」 という雰囲気が、どこかにあるように 私には思える。 あるいは…? ☆・★・☆・★・☆・★・☆ 話がそれた。 パスポートの審査がすんだと思ったら 係官に なぜか、こちらへ、と。 並ばされたのは 他の人たちが行かないような、通路。 団体さんたちは、わりあいスムーズ。 「ここ、何するとこ?」 「なんで、私たちだけ、なわけ?」 「わからないわ」 「ま、しかたないわ、煮て食われるわけじゃないでしょ」 夏物の普段着を着た (飛行機に乗るようなかっこうじゃない) アジア系の人たちが手や足を上げたり、 靴下を脱いで、足の裏を見せたり、している。 そばにころがしてある 彼らの荷物ときたら、ヨレヨレの紐で しばった紙袋から 野菜の葉っぱが何本もはみ出ている。 「あんなん、持ち込んでいいの?」 時計を見る。 乗り換えの時間はたっぷりあるけど 薄暗い、こんな隔離されたような一画で 少々 うんざり。 私たちも、あの人たちのように 靴下脱ぐわけ? 3人とも無言。 たくさんいた他の乗客たちは とっくにどこかへ消えた、と いうか行ってしまった。 私たちって、あやしい? きちんとしたジャケットを着てるし 顔つきは… ん〜と メッチャ若くはない 早く言えば 中年だけど 日本女性、美人の二人と マッチョどころか “善良”を絵に描いたような男性一人の 3人様ご一行ですよ。 こういう時に、私は緊張するか? すればちょっと、かわいい。 が、しない。 内心 おもしろがっている。 よほどのことが起これば、言うべき口は 多分、ある。 靴脱ぐ用意でもすっか、と 思いながら、台にもたれて 周りを見ていたら 離れた壁際に立っている 女性係官と目が合った。 ちょっと笑顔。 肩をすくめて見せると 彼女が手招きした。 身長は1.8mほど、ヒップは1mもあろうか という白人女性。 白い半そでの制服、黒いパンツ。 腰にはもちろん、ガンがずっしりと。 「行っていいです」というご指示。 あ、そう? 私たちは通路を歩きながら 今のは一体何だったのだろうと 首をかしげる。 きっと私たちの様子を見ていて これは何も心配ないって 判断したんじゃないの? それにしても、失礼な話ね。 どういう基準なのかしら? ま、いいじゃないサ、解放されたのだから。 ☆・★・☆・★・☆・★・☆ 無事、コロンバス空港行きに乗り込む。 機内では ジュースや飲み物を、機内食をサービスされる。 フライト・アテンダントが来る。 「コーヒー、ジュース?」 私は「コーヒー、プリーズ」。 ちょっと、目を見てくれる。 好意的な視線。 そしてカップやトレーをもらう時 「Thanks」とか「Thank you.」を 低いけれど聞こえるように 言う。 きっと「You are welcome.」と いうことばと微笑が返ってくる。 「ジュース」、「コーヒー」に プリーズをつけてほしいの。 Remi にそう言った。 そして Remi はいつもそうしてくれた。 お酒を何杯もお代わりして 酔っ払って、大声を出したり 傍若無人に 「ウォータ」「ビヤ」と命令口調で言う 日本人男性がいると 哀しくなる。 “フツーのマナー”を どこかで教えてほしい。 学んでほしい。 旅の恥は かき捨てないで。 外国に身を置く時、私は どうしても 日本人をしょってしまうのだ。 ☆・★・☆・★・☆・★・☆ 1時間くらいで到着。 いよいよ、来たゾ。 広い通路を、私はカメラを持って歩く。 「着いたね」 Remi に声をかける。 お迎えのJennifer やTed さんに会ったら その感動の場面を 写してあげなくては。 それに ひょっとして他の家族たちも来ているかも。 Takaさんが 「ね、ね。そこに立ってごらん」 「何?」 「NorthWest のちょうどいい模型があるから、 写真撮ってあげるヨ」 Remi は 「もう、そんなのいいわよぉ」なんて言いながら 「あ、そう? じゃ」と 私もすましてカメラに収まる。 その辺にいた人に Baggage Claimの場所を尋ねる。 指差してくれたのは かなり向こうだ。 荷物を受け取ってから ご対面ということになるんだよ、ね。 なら こうして手にカメラ持ってなくていいじゃん。 バッグにしまお。 と、 前方に手を振っている人が見えた。 ん? 女性が両手を上げて跳びんこしている。 そばにいる女性は 大きな白い紙を高々と振っている。 「こんにちは」と書いてある。 6、7人が、両手を振り 満面笑みを浮かべて 手招きしている。 Remi が走る。 Takaさんも走る。 私も後から。 Remi をしっか、と抱きとめたのはJohn さん。 顔をくしゃくしゃにしながら。 頬を紅潮させて。 ・・・・・ Jennifer たちも、もらい泣き。 メールに添付してくれた写真の 人たちだ。 Remi は花束を手に持っている。 Jennifer が私にも花束を渡してくれる。 「Hisayoね、こんにちは。 お世話になって…」 「はじめまして」 いい出会いだったんだね、みたいな顔して ニコニコしながらそばを通り過ぎる人たち。 少し時間がたって 背の高い男性が、笑みを浮かべて 私に近づいてきた。 「Hisayoさんですね、Ted です」 「はじめまして」 Jennifer に、Cheryl に、Jill に言われる。 手を差し出しながら 「ようこそ、Hisayoさん。 Remi たちと一緒に来てくださって ありがとう。 ほんとによく来てくださったわ」 あ、 私はこの50数年目の 対面を写してあげるんだと カメラを用意していたのに。 さっきバッグに入れてしまった。 Baggage Claim を出てから こうなると、思ってたんだモン。 ドジ! ![]() 02年3月のJohnとCherylの結婚式の写真。 全員で迎えてくださった。 |